If I can stop one heart from breaking. I shall not live in vain


by cupido
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芸術と、ジョットの完全な円

完成された芸術とは、時に我々一般人の理解を超える世界にある。
世界中の誰が見ても美しい。それが芸術の全てでは無い。
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『Ophelia』Sir John E Millais


上の作品は、イギリスの画家ミレイが、22歳の時に描いた作品で、
シェイクスピアの四大悲劇の一つ『ハムレット』のヒロイン、
オフィーリアをモデルに描かれたもので、筆者が最も好きな絵の一つである。

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『Guernica』Pablo Picasso

こちらは、ご存知ゲルニカである。
救いを求め天を仰ぐ人や、子供を抱いて泣く母が描かれている大きな作品で
ピカソが、戦争の悲惨さを訴えた作品であり、反戦のシンボルである。

誰が見ても簡単に分かる、この二枚の絵の決定的違いとは?
写実的であるか否かという点だろう。

筆者も含め、一般人には、ピカソの様な独創的な作品の理解は難しい。
ピカソは、その生涯で、最も多くの作品を残した画家の一人として知られるが、
彼が描いた人物画のいくつかは、一つの頭に顔が二つあったり、
妙な色を塗ってあったりもする。まるで幼稚園児が描きそうな絵なのだ。
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筆者が、ピカソをはじめ個性的な画家の作品を鑑賞するきっかけになったのが
香港に行ったときに、ふらっと寄った芸術展であった。
近代絵画を展示していて、若い画家達の作品が並べてあった。

その中の一枚、小さな絵で、真っ白だった。ただ、少し黒で着色されているだけ。
ただ、よく見ると、その黒い線が、雪に隠れた木の幹であったり、
降り積もって見えづらくなった地面との境界線であったり、
雪に押し潰されそうに頭をたれる川縁に生えた草である事がわかった。
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こちらは寒そうな川の写真:イメージ


その真っ白な絵は、よく見れば細部が非常に写実的で、当時の筆者であっても
優れた技巧に、素直に感動できる作品であった。
しかし、同時に、その絵の白さは、あまりに非現実的であった。

ただ、その絵は、寒そうだった(笑)

しかし、それこそが、重要で、その寒いイメージこそ芸術であるのかもしれない。
亜熱帯の蒸し暑い国、香港。気が狂いそうに暑いのに、その絵を見てると
少し暑いのを忘れてしまいそうに、冷たさが伝わって来たのである。

ピカソは、一つの頭に、複数の違った表情の目や口を描く。
人の心の内面とは、笑顔だけで、または泣き顔だけで、表現出来るような
単純なものではない。多くの表情を持つ者、それが人間である。

三枚目の顔は、『ライ麦畑でつかまえて』の表紙にあるピカソの絵である。
ピカソは、絵が下手なのではなく、それが彼の表現方法なのだ。

かつて、法王ベネディクトゥス9世に、芸術家としてのデッサンを求められた
画家ジョットは、その場で一瞬にして、円を描き、それを使者に手渡した。
法王を馬鹿にしているのかと思えるほど簡単なデッサン。
しかし、ジョットは使者に、これで十分だ!と伝えたそうである。

そして、それは一筆で描かれた、完全な円であったそうだ。
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by cupido | 2007-05-04 18:35 | 雑学系とか